- ミツカン公式が「つゆだけでも美味しい」と具なし冷やし中華を投稿
- 商品の魅力をシンプルに伝えようとしたが、思わぬ批判が殺到
- 一部から「女性蔑視」「作り手の努力を無駄にする行為」との意見が

ミツカン公式の当該ポストは現在削除されています。
SNSの反応
じゃあ冷やし中華だよって言われてこれ出されて文句言ってくる人への対処もミツカンがやってください… 呼ばれてもないのにミソジニー楽しそうだねって首突っ込んでくるのさすがに醜悪すぎる https://t.co/JORlntoMSn
— 🧑🏻🌾 (@kaogakao) August 14, 2025

「つゆだけでも充分美味しい」ならハム、錦糸卵、きゅうり、トマトを乗せればもっと美味しくなりますね。
マヨネーズも入れちゃおうとはならないんですね。
気ままに考察
今回のミツカン公式アカウントによる投稿が一部で強い批判を浴びた原因は、単一のものではなく、複数の社会的な価値観や文脈が複雑に絡み合った結果であると考えられます。
第一に、「料理は手間暇をかけて作るべきだ」という根強い固定観念の存在が挙げられるでしょう。特に冷やし中華は、錦糸卵やきゅうりの千切り、ハムなど、多くの具材を準備するのが一般的というイメージがあります。その中で「具なし」というスタイルは、この”あるべき姿”から逸脱しており、「手抜き」や「怠慢」と見なす層の反感を買ってしまった可能性が推察されます。ミツカン側の意図は、あくまで「つゆの美味しさの証明」や「多様な食べ方の提案」であったはずですが、その真意が伝わらなかったのかもしれません。
第二に、この「手抜き」というキーワードが、ジェンダーの問題と結びつけられてしまった点です。いまだに「家庭の料理は女性が担うもの」という社会的なプレッシャーが存在する中で、「具なし」という手軽な提案が、「女性の料理に対する責任を軽んじている」「手抜きを助長し、食卓の質を低下させる」といった解釈に繋がり、「女性蔑視」という批判にまで発展したのではないでしょうか。これは、料理に手間をかけることを女性に求める価値観と、その価値観に対する反発の両方から批判が生まれた可能性を示唆します。
最後に、SNSの特性も無視できません。文脈が切り取られやすく、感情的な意見が瞬時に拡散するプラットフォームでは、一部の過激な意見が全体の総意であるかのように見えてしまうことがあります。企業アカウントに対しては高い倫理観が求められる風潮も相まって、投稿の意図を深く読み解く前に、批判的な反応が連鎖してしまったという側面もあるでしょう。
これらの要因が複合的に作用し、企業側のシンプルな商品PRが、意図せぬ形で大きな論争へと発展してしまったのだと考えられます。

あまりこういうことがあると企業の広報担当は萎縮して何も発信できなくなりそうですね。
それがいい世の中とは思えません。
気になる質問
- Qジェンダー問題とは何ですか?
- A
ジェンダー問題とは、「男だから」「女だから」といった社会や文化によって作られた性別(ジェンダー)に関する固定観念や差別によって生じる、さまざまな社会的な問題のことです。
- Q炎上の定義を教えてください。
- A
炎上(えんじょう)とは、主にインターネット上で、特定の個人や企業のウェブサイト、SNSアカウント、発言などに対して、批判や非難、誹謗中傷のコメントなどが爆発的に殺到し、収拾がつかなくなる状態を指す言葉です。
文字通り、まるで「火が燃え盛る」かのように、ネガティブな反応が短時間で一気に広がる様子を表現しています。
簡単に言えば、「炎上」とは「インターネット上で発生する、制御不能な集団的リンチ(私刑)」に近い現象とも言え、インターネット社会の負の側面を象徴する言葉の一つです。
- QSNSで出てくるフェミとは何ですか?
- A
現在の日本のSNS、特にXでは、「フェミ」という言葉が本来の意味合いから離れ、否定的な意味を持つレッテルとして使われることが多くなっています。
これは、相手を批判・攻撃する際に、①過激で攻撃的な主張をする。②男性全体を敵視している。③アニメや広告の表現へ過剰に反応する。④議論が通じない厄介な人物。
といったイメージを押し付けるための言葉として用いられる傾向を指します。
「フェミ」の元々の言葉は「フェミニズム(Feminism)」または「フェミニスト(Feminist)」です。
フェミニズムとは、性別による格差や差別をなくし、誰もが性別によって生き方を制限されたり、不利益を被ったりすることなく、平等な権利を享受できる社会を目指す思想や運動のことです。
「男だから」「女だから」といった固定観念(ジェンダー)にとらわれず、すべての人が自分らしく生きられることを目標としています。
この思想に賛同し、活動する人を「フェミニスト」と呼び、その略称が本来の意味の「フェミ」です。
個人的な感想
企業の発信の難しさを改めて痛感させられる一件だと感じました。つゆの美味しさに絶対的な自信があるからこその「具なしでも美味しい」というアピールは、マーケティング戦略として非常にシンプルで分かりやすいものです。また、時間がない時や食欲がない時など、手軽に済ませたいというニーズは確実に存在します。そうした多様なライフスタイルに寄り添う提案が、なぜ「女性蔑視」や「努力の否定」といった文脈で批判されてしまうのか、正直なところ驚きを禁じ得ません。
食の楽しみ方や価値観は人それぞれであってしかるべきです。「料理はこうあるべきだ」という固定観念を他者に押し付ける風潮は、窮屈さを生むだけではないでしょうか。今回の件で、一部の過剰な批判が企業の自由な発想やユーモアのある投稿を萎縮させてしまうのではないかと懸念を覚えます。
もちろん、企業は多様な受け手に配慮した発信を心がける必要があります。しかし、受け手側もまた、発信の意図を冷静に汲み取り、寛容な視点を持つことが、より健全なコミュニケーションを築く上で重要なのではないかと考えさせられました。

追記:ミツカンから謝罪の投稿がありました。
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